卒業研究の手順
ここでは、卒論が完成するまでのステップを書く。
研究には、その立ち位置によっていくつかの種類に分けることができる。どれが良いというものではない。一方で、このゼミでは実証研究だけを認める。
代表的な分類は実証研究と規範研究という分類である。
| 実証研究 | 規範研究 |
|---|---|
| 「現実はこうなっている」を見つける1 | 「こうあるべき」を見つける |
| データ分析中心 | 数理モデル中心 |
| このゼミで扱う | このゼミで扱わない |
問題意識 = 研究目的 = 大きい問い
研究したいなら何でもして良い訳ではない。研究のためにリソースを使う、出版する、読む人の時間を使うなど自分以外の人間を巻き込む
研究の必要性とセットで示す。
ex. 「どのような企業が正確な業績予想を出すのだろうか」(石田, 2020)
業績予想は、経営者が将来の企業業績に関する自身の予測を伝達するための手段であり、投資家が意思決定を行うに際して重要な情報源であるから、この問いには問う価値がある。
研究課題 = 小さい問い = 問い
同じ問題意識を持って研究した人は過去にもいるはず。自分だけ抱えた問題意識は、他の人にとって興味ないことであり研究にならないから。
同じ問題意識を持った人はどのような研究をしてきたのかを明らかにする必要がある。同じ研究をしてもしょうがないから。
そのために、先行研究レビューを行う。先行研究レビューでは、既に何がわかっていて、何がわかっていないのかを整理するのが目的になる。何がわかっていないのかが明らかになれば、それが自分の研究の問い(研究課題)になる。
問いは具体的で検証可能な形をしている。問題意識と同様に、問う必要性とセットで示される。
ex. 「経営者の在任期間が変わると業績予想の正確度がどのように変わるのか」(石田, 2020)
短期間で経営者が交代してしまうことに否定的である一方で、経営者が長期にその座に居座ることに警鐘を鳴らされている。
問いには3つの要件がある
現実的には(卒論的には)3要件に加えて検証可能であることも求める。このゼミは実証研究を求める。実証するには検証できないといけない。
良い問い
良い問いは大抵次のようにまとめることができる。
次点で二者択一のもの。
以下のような論文に特化した検索サイトを用いて検索する。
自分の研究課題と同じ\(x\)に注目している研究や、同じ\(y\)に注目している研究を探す。両方同時に調べているような(自分の研究課題とほぼほぼ同じような)研究を見つけなければいけないと思わなくていい。
単語を色々工夫しながら探す。 他にも、書籍やwebの記事も探す。 一つ関連する先行研究を見つければ、その先行研究に載っている参考文献から他の先行研究を見つけることができる。
他にも、関連する分野の教科書も参考になる。教科書は過去の研究の蓄積をまとめたものであり、教科書になっているようなことは研究されないことが多いので、上記のようなサイトで検索しても自分の欲しい物が見つからないことが多い。
問いに応じて分析手法を決定する。明らかにしたいことは平均的な傾向か特別な現象かによって分けることが多い。このゼミでは大抵次の3つの方法から選ぶことになる。参考文献とセットでのせる。
ここからは財務データを用いて回帰分析を行う前提で書いていく。
特定の企業の特定の行動(制度の導入や取り組み)に興味があっても、その効果を検証するには比較が必要になる。 例えば、気になる企業が業績連動報酬を導入したとする。これによって業績が向上したのかどうかを調べたい。その企業の業績だけを見ても業績連動報酬によって業績が向上したのかどうかはわからない。というのも、もし業績連動報酬を導入していなかったとしても業績は向上していたかもしれないからである。
回帰式(回帰モデル)を決定する。
式に限らず回帰分析では、モデルを複雑にすればするほどデータとの一致性は高くなります。 しかし科学的に妥当な解釈ができないモデルでは意味がなく、たとえ解釈できるとしても、あまりに複雑なモデルは結果の解釈が難しくなります。
http://www.snap-tck.com/room04/c01/stat/stat12/stat1202.html
libby boxの上段が研究課題になる。 下段は実際に使うデータとセットであり、リサーチデザインで説明する
問いにおけるXとYと分析におけるXとYを考える
e-statとか各省庁の統計データを検索する。
各産業が統計データを公開していたりする。例えば、日本電気工業会の太陽光発電システム出荷量動向などがある。
このゼミでは認めません。実施方法を勉強していないし、倫理的な問題が取り上げられることが増え、気をつけて対応しないといけません。このことを知らずに実施されると困るため、以下の手法によってデータを集めないで下さい。
重回帰分析 (DID) とかする。理想は研究課題に対して適切な分析方法を選ぶことである。一方で、それをするには多様な分析方法を理解しておく必要がある。
回帰分析をするなら次のような手順が取れる。
まず、Rstudioを起動する。あれをクリックする。すでに卒論のためのフォルダを作成している場合は”existing directory”をまだ作成していない場合は”new project”を選択する。 名前は一番わかりやすい名前をつける。これが新しいフォルダ名になる。その下は特にこだわりなければ~のままにする。これでドキュメントフォルダの下にsotsuronフォルダが作成される。
Rstudioを一旦終了する。
sotsuronフォルダの中にsotsuron.Rprojというファイルが作成される。今後はこのファイルをダブルクリックすることでRstudioを起動する。
excelでデータを集めていたのであればcsvに出力する。そっちの方がRの方で読み込みやすい。
csvにするときに注意すべき * A1から書かれていることを確認する。 * tidydataになっている
xはyに影響する/するとはいえない。xが1単位増えるとyは[]増える/減る。
分析結果はなぜ得られたのかを日本語で説明する。次節へ続く。
統計分析を行ったのであれば、数字の結果を日本語で説明する。
ex. 「経営者は就任して一定期間までは、在任期間に伴い業績予想の正確度は向上する一方で、一定期間をすぎると業績予想の正確度は低下していく」
ex. 「経営者は就任して一定期間までは知識の獲得に努める。在任期間が長くなると、経営者が得ることができる便益が、学習にかかる費用を上回るようになる。また、経営者の力が強くなれば、業績予想の不正確さへの罰則が弱まる」
分析結果は発見事実である。同じデータと分析手法を用いれば、誰が実施しても同じ結果を得られる。 一方で、その結果をどのように解釈するのかは人によって変わる可能性がある。これは自分の意見である。 これらは明確に区別されなければいけない。
少なくとも段落を分けて記述を行う。
どのような順番で段落を並べるのかを考える。いきなり頭から順番に書いていくと全体像がつかみにくい。先に全体像を作り上げてしまう。それで問題なさそうであれば、初めて本文を書き始める。
話の流れは省略しない、根拠をメモだけにする(省略する)。
段落のキーセンテンスだけ(詳細な小見出しだけ)で一旦論文を上から下まで繋げたものを用意する。
次のような点を意識する。
一般的な構成は「論文の型」を参照してほしい。
決めた構成に従って書く。
パラグラフライティングする。
論文は何回も書き直すものである。一回1万字書けば終わりではない。以下のような見直すポイントがある。
タイトルと中身とがずれていないかを確認する。
知っていること、調べたことを全て書いた方が良いとは限らない。何でもかんでも書くと主張が不明瞭になる。本当に必要なことだけを書くようにする。
意図が伝わるような流れになっているか、論点がわかるような流れになっているかを見直す。
また、提示した問いに答えているか、対応する形になっているのかを見直す。
序論と結論で違う話をしているとかよくあるので見直す。
誤字脱字をチェックする。科学的に示されている誤字脱字の確認方法として次の2つがある。一つは音読すること、もう一つはフォントを読みにくいもの (ex. MS明朝) に変更することである。
自分で音読すると適当になってしまう恐れがあるので、ペアになって互いに互いの論文を読み聞かせするのがおすすめ。
タイトルで急に壮大な話をしたりする。〜するべきとか、〜
研究の進捗は一方通行ではない。 行ったり来たりすることは普通にある。
テーマごと諦めないといけないこともあります。テーマが良くても実行が難しいことだってあります。 これまでの作業が勿体無いと思うかもしれません。でも、そのまま進んでも地獄の道です。 勇気を持って諦めましょう。新しい道を探しましょう。
ゼミ